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更新日:2017年9月19日

復興を祈りて開く文化の華

 朝夕は少し涼しくなり秋の訪れを感じますが、まだまだ残暑の厳しい毎日です。倉吉市の小・中学校も夏休みを終え、2学期が始まりました。
 この夏休みにたくさんのスポーツ大会があり、活躍した児童生徒も多くいました。桜相撲を勝ち抜いた松田天君が全国わんぱく相撲大会で3位に入賞しました。また、7月28日に中国・全国大会出場選手激励会を市役所西玄関で行い、その結果、中国大会柔道女子個人で福井綾乃(河北中)さんが優勝しました。今年度は、中国・全国大会出場の選手が例年になく少なく、鳥取県中部地震の影響がここにも表れていると思いました。練習不足にもかかわらず実力を出し切り素晴らしい成果をあげた選手に拍手を送りたいと思います。

 さて、2学期は実りの秋。「倉吉を担う人づくり・まちづくりの推進 ~いつでも どこでも だれでも ともに学び 地域力を育む~」をスローガンに、社会教育では生涯学習課・文化財課・図書館・博物館が様々な事業を計画していますが、そのうちのいくつかを紹介します。
  生涯学習講座 では、数々の災害や争乱を乗り越え、形を変えながら多くの人に支えられ現代に伝わって来ているものがあります。それらを「1300年目を楽しむ」として取り上げます。ここ近年で1300年の節目を迎える「716年山上憶良伯耆守赴任」「717年関金温泉開湯」「718年大山開山」「721年長谷寺創建」に焦点を当て講演会を開催します。鳥取県指定文化財の長谷寺の絵馬も拝見できるチャンスです。
 博物館では、例年開催している 倉吉市美術展覧会 (9月2日~9月25日)、鳥取県美術展覧会(11月11日~11月27日)の他、 倉吉博物館復興祈念展 「華が咲く」を開催します。倉吉市名誉市民で人間国宝・大坂弘道氏の新作寄贈作品を含む約20点の木工芸作品と鳥取県指定文化財の展示をします。鳥取県無形文化財保持者 陶芸の山本浩彩氏(不入岡)、木工芸の福田豊氏(黒見)、有形民俗文化財の鳥取県の絣関係資料などを展示します。「黒ぼく大地に生きた詩人 河本緑石」展、伯耆しあわせの郷25周年合同展、鳥取短期大学絣研究室修了作品展など、工芸を中心に開催します。
 定光寺所蔵の 「五百羅漢図」 が鳥取県保護文化財に指定されたことを記念して、狩野派の倉吉町絵師 吉田保水の作品100幅すべてを定光寺本堂で公開(9月20日~9月21日)します。秋の彼岸に因んでの限定公開です。
 図書館では、 第六回山上憶良短歌賞 を募集中です。昨年の山上憶良伯耆守赴任1300年記念事業、山上憶良・土屋文明歌碑の建立に中心となって取り組まれた池本一郎委員長の歌が、短歌誌「塔」に掲載されました。
  重ねたる建立会議の論よりも超えたる歌碑か幕引きてまぶし
  相思なるごとくに二歌碑寄りそうは異例といわん憶良文明
  一口千円・二千五百人の寄付積みき零細にして尊くもあるか

DSCF0742.jpg      市民の皆様の寄付により建立された歌碑の重みを改めて感じます。隣にある憶良受賞作品碑は、1300年の歴史のある和歌を次の世代につなぐものとなりました。
 また、故桑本昭史先生(倉吉東・西高勤務)の御令室様より、生前先生がタイプ作成された英訳と自筆で揮毫された和歌の作品「百人一首」を御寄贈いただきました。高校時代に英語を学んだ人も多いかと思いますが、本を見て桑本先生の違う一面を窺い知ることができ感激しました。是非多くの市民の皆様に御覧いただきたいと思います。

 私たちの身の周りには多くの文化財があります。それらは台風や地震等の災害を乗り越え、幾星霜を経て今に伝わってきています。そして、私たちが日々の営みの中で創り出している絵画・工芸・染織・短歌・俳句・写真などの文化活動の所産も、年を経て文化財になるのかもしれません。それらを楽しんでみませんか。

 平成29年9月1日

倉吉市教育委員会教育長 福井伸一郎